黒いキャンバス

E-PL1 + LUMIX G VARIO 7-14mm f4.0

上の写真はスルーして読書感想文を書く。

ハチはなぜ大量死したのか」 ローワン・ジェイコブセン 著
読後に「オ、オレ日本に無事帰れたら蜂を飼うんだ」とつぶやいてしまう本。一昔前にハチが失踪しているというニュースを聞いて、あれは解決したのだろうか?と心の片隅でずっと気になってた。その原因らしき部分がわかります。ハチの一生を映像を見てるかのように書いた文章も絶品。ハチとハチミツが大好きになれます。オススメ。

イニュニック[生命]」 星野道夫 著
星野さんの無駄のないそぎ落とされたかのような透明感あふれる文章でアラスカでのできごとについて書かれています。エスキモーに伝わる伝承、生命について。座礁したクジラのエピソードなんて大らかすぎてすごい。いくつか引用。癌になったカメラマンとの会話。少し冗談めかして聞いた、とあります。

「ヘレン、人生の中で一番大切なことって何?」
彼女は迷わず答えたものだ。
「友だちだよ」と・・・・。
僕はこの言葉を一生忘れないと思う

アリューシャン列島のキスカ島でアメリカと日本の慰霊祭があり、それに参加した時、アメリカの老兵との会話。この方は絵が好きで、戦後は大学の美術の先生になったそうです。

「ミチオ、ふつう絵を描く前のキャンバスは真白だね。そこに少しずつ色を塗ってゆくわけだ。私はいつの頃からか、まず初めにキャンバスを黒く塗りつぶすようになった。その上に色を重ねながら描いてゆくんだよ。(中略) 私は、人が生きてゆくということは、その人生の暗いキャンバスに色を塗ってゆくことなのだと思う。それも、どれだけ明るい色を重ねていけるかということなんだ・・・・・・だがね、黒いキャンバスの上にどんな明るい色を塗っても、その下にある黒はどうしてもかすかに浮き出てくる。だから再びその上に色を重ねてゆく。私はね、生きてゆくということは、そんな終わりのない作業のような気がするんだよ・・・・・・」

前後もすばらしいので、ぜひ。

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